兵庫県姫路市を中心とした西播地域は、天然皮革素材の産地として 知られています。「播州なめし」と称された「姫路革」を冠する製革 産業の歴史は古く、千年以上前に大陸から伝わり、良質な水と広大 な土地が確保できる現在の姫路市東部、市川流域に根付いたと言われ ています。その背景には、温暖で穏やかな瀬戸内気候が、天日干しに 好都合であった事、革の保存や処理に必要な塩が入手しやすかった事、 近隣で多くの牛が飼育され、牛皮の調達が容易であった事などが挙げ られます。 近年になり西洋から「植物タンニンなめし」や「クロムなめし」など の製革技法が伝来した後も、地場産業として発展を続けてきました。 進化し続ける品質や技術力は、国内外を問わず高い評価を受けています。

西播地域は、皮革素材に関わる企業数、出荷量が全国シェアの1/2以 上を占めています。また、成牛革の生産量は、国内シェアの7割を占め、 天然皮革産業に携わる人、技術、歴史、情報、設備が結集しています。 この地で生産された天然皮革素材は、国内外の有名アパレルメーカー やスポーツ用品メーカー、工業用品などに採用され、その品質や世界レ ベルの技術は業界内で高い評価を受けています。しかし、地域内で バッグや革小物などの製品となる例が少なく、一般消費者にはあまり 知られていないという問題がありました。 近年、「天然皮革素材の歴史、製造技術、産地の魅力を消費者に浸透さ せたい」と自社ブランドを立ち上げる企業も出てきました。各社の取り 組みを後押しし、地域産業を広く伝えるべく、公益財団法人姫路・西 はりま地場産業センターは、デザインブランドMETAPHYSに協賛し、 革の生産から、製品作りまで一貫生産を行う天然皮革商品シリーズ 「sebanz」を立ち上げ、共に製品作りに取り組んでいます。